人材派遣・就活・ジョブサロン関連の推奨銘柄と値動き


人材業界の展望

多くの日本企業が人手不足に直面しています。少子化によって労働人口が減少。高齢化も一段と進展し、若年層や働き盛りの世代を確保するのが難しくなっています。こうした雇用・労働情勢は、人材サービス会社や就活サービス会社にとっては、追い風になっています。人材難になるほど、企業が専門業者に頼る度合いが強くなるからです。

「派遣」と「請負」

人材業界には、いくつかの種類があります。 自社で抱える労働者を契約先の企業に送り込む「人材派遣会社」が一つ。人材派遣会社から派遣されたスタッフは、顧客企業で指揮・監督されます。 もう一つ、人手が必要な仕事を一括して引き受ける「業務請負会社」があります。 「業務請負」は顧客企業から仕事を請け負います。請け負った企業が労働者の業務を管理します。 人材派遣と業務請負は、 いずれも売上高に比例して人権費がかかるため、 利益率はあまり高くないと言われます。

「人材紹介」「採用サポート」も

さらに、企業に転職・就職希望者を紹介し、その手数料を得る「人材紹介会社」があります。 人材紹介会社が受け取る手数料は、紹介する人材の年収の35%程度が相場と見られています。 このほか、求職者に対して求人募集の情報や広告を提供する「採用活動サポート会社」もあります。

景気との関係

景気が悪化すると、企業は採用の抑制や派遣の削減を行います。 このため、人材業界は景気の影響を受けやすいです。

コロナショックで採用停止や非正規切り

2020年のコロナショックでは、企業の新卒の採用停止や内定取り消しなどの動きが出ました。旅行や外食などの業界で、解雇や派遣切り(非正規切り)に動く企業も相次ぎました。その一方で求人を増やした業種もありました。

外国人労働者の「特定技能」枠

2019年4月から「特定技能」という外国人の新しい在留資格ができ、不足する国内の労働力を補うことが期待されていました。しかし、その後のコロナ流行に伴う入国規制によって、停滞しました。

派遣法改正で「無期雇用」へ

2020年4月の派遣法改正では、派遣社員への教育訓練や派遣期間のカウント方法が見直されました。3年継続して派遣する社員に対する雇用先の紹介や、無期雇用への切り替えなどの義務が派遣元に課せられるようになりました。

社員と非正規の格差解消

さらに、2020年4月(中小企業は2021年4月)、基本給やボーナス、手当などについて、 社員と非正規の間での不合理な格差が禁止となりました。 こうした改革が長期的に見て非正規の給与引き上げにつながると期待されています。



スナップアップ投資顧問の推奨銘柄の実績例【人材株】

スナップアップ投資顧問では、人材サービス業界の分野でも、特定銘柄の推奨で実績を積み重ねてきました。 派遣法改正など業界の構造的な転換をふまえ、各企業の財務力や将来性を吟味。 持ち前の割安・割高分析を武器に、勝機を巧みにとらえた銘柄選別を行っていると評されています。


業種 人材派遣会社
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
465円
(2020年5月7日)
推奨後の高値 576円
(2020年5月27日)
上昇倍率 1.93倍
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市場 東証1部
(2012年11月、東証マザーズに上場)
ロゴ キャリアリンク

BPO業者に人材を派遣

キャリアリンクは人材派遣会社。主な派遣先はBPO業者。役所系の仕事に強い。

具体的には、官庁や企業の一部業務を代行する「BPO」(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を受注した業者に対して、自社に登録する人材を送り込む。派遣されたスタッフは、事務や入力などの業務に従事する。

「ノーローン」の子会社として発足

消費者金融シンキの子会社として、1996年に設立された。シンキは「ノーローン」で知られていたが、現在は新生銀行に買収され、会社名も「新生パーソナルローン」になっている。

シンキの前田直典氏が事実上の筆頭株主

シンキはもともと兵庫の会社だったが、東京進出の目的もあり、東京・新宿に新会社としてキャリアリンクを立ち上げた。シンキが新生銀行の傘下に入った後も、シンキ経営陣出身の前田直典氏の個人資産会社がキャリアリンクの筆頭株主となっている。新生銀行とキャリアリンクに資本関係はない。

日本年金機構の業務が得意

得意分野は、官公庁の業務。とりわけ日本年金機構からの年金に関する業務の受注が多い。例えば、年金受給者の台帳調査、転記、記録突き合わせなどの業務である。電子化対応や年金ダイヤル業務についても、受託実績がある。このため、年金関連の業務ノウハウが社内に豊富に蓄積されているという。

インセンティブ契約が特徴

キャリアリンクの特徴として、人材派遣先の顧客に対して業務効率化に関する企画・提案を行ったうえで、インセンティブ契約を締結している点。派遣を通じて、より少人数、低コスト、短期間で業務ができるように体制を改善する。

派遣スタッフにも成果報酬の分け前

成果が上がればスタッフにもインセンティブ(成果報酬)を支給し、モチベーションの向上につなげている。すなわち、生産性向上の恩恵を、顧客企業、派遣スタッフ、同社の3社でシェアするという考え方だ。

チーム派遣

また、経験豊富な人をリーダーとする「チーム派遣」によって効率的な業務処理を心がけているという。


■ ポート(2020年5月推奨)

業種 就活サイト
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
716円
(2020年5月7日)
推奨後の高値 970円
(2020年5月28日)
上昇倍率 1.93倍
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市場 マザーズ福岡Q-Board
(2018年12月上場)
ロゴ ポート

ポートは、就活・転職サイト「キャリアパーク!」を運営している。サイトを訪れた学生を、広告主の就活イベントや会社説明会に誘導する。それによって収入を得ている。

学生時代に起業

創業者の春日博文社長は大学在学中から、採用関連の事業を始めていた。大企業に対して、Facebook(フェイスブック)を活用した採用サポートを実施。顧客企業は350社を超えていたという。

SNS使った採用を支援

その実績をもとに2011年、23歳の若さで会社を設立した。当初の社名は「ソーシャルリクルーティング」。SNSによる企業の採用活動の支援を主力事業とした。

1.5億円集めて「キャリアパーク」開設

その後、ベンチャーキャピタルから1.5億円の資金を調達し、自社サイト「キャリアパーク」を開設した。その後、カードローン比較サイトなども立ち上げた。

「廃れないコンテンツ」

サイト運営にあたっては、長期間にわたって廃れないコンテンツづくりを心掛けているという。それによって収益確保を図る。「キャリアパーク」はコンテンツの新規作成ではなく、既存のコンテンツで集客を図っている。

上場直後に黒字達成

2018年12月にマザーズ上場。それまで赤字が続いていたが、2019年3月期に黒字化を達成した。2019年には法律情報サイトを買収した。

コロナでセミナー中止

2020年のコロナショックでは、就活セミナーの開催中止などで打撃を受けた。株価も一時、暴落した。しかし、オンライン型の就活イベントや採用サポートといった新規事業を打ち出したことで、持ち直した。

高血圧のオンライン診療

また、高血圧に特化したオンライン診療のサービスも順調にスタートした。もともと、「ポートメディカル」と称して、テレビ電話、メール、チャットを通じて医師の診察を受けられる事業を展開しており、薬の処方、決済、薬の配送までをカバーする遠隔診療メディアとして育てていた。このノウハウが、コロナ下で生かされた。

職業紹介などの自社サービスへ誘導

ネットメディア企業は、サイト上の広告に依存する場合が追い。しかし、ポートの場合、サイト訪問者をリアルなサービスへと結びつけることで収益化することを原則にしている。
就活関連でも、会員向けの職業紹介サービスを自社で展開している。


■ ギグワークス(旧スリープログループ)(2020年5月推奨)

業種 IT系人材の現場派遣
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
1,157円
(2020年5月19日)
推奨後の高値 1,548円
(2020年6月10日)
上昇倍率 1.8倍
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市場 東証2部
(2003年11月、東証マザーズに上場)
ロゴ ギグワークス

ギガワークスは、IT業務や営業の支援会社。顧客企業に対してITを使える人材を提供する。

パソコンの自宅サポートで成長

1977年に設立された。当初は「シーサンデイ」という会社名だった。1996年に、パソコン利用者へのサポートサービス事業を立ち上げる。これが成長の起爆剤となった。

初期設定の手伝い

当初は、パソコン購入者の初期設定を手伝うサービスを展開した。パソコンユーザーの自宅に、技術に詳しい人を派遣。周辺機器の接続を手伝ったり、操作方法を教えたりした。早々に、業界トップ3の一角となり、独立系としては最大手になった。1999年に「スリープロ」へ社名変更した。

派遣スタッフは副収入を得る

派遣スタッフは、会社員、自営業者、主婦、学生など幅広い層が登録した。「パソコンに関する知識をいかし副収入が得られる」などの動機だった。

ネット接続の設定を大量受注

こうした体制にパソコンメーカーや家電量販店、通信事業者が目をつけた。販売促進の一環として購入者に提供しているパソコン接続サービスなどの業務を、同社に委託するようになった。ADSLや光ファイバーなど高速インターネットの普及期にも、ソフトバンクBBなどから大量に受注が入った。

企業向けへ拡大

さらに、企業のオフィス移転時のパソコン設置なども手掛けるようになった。2003年11月に東証マザーズに上場。

コールセンターの業務委託

その後も、企業向けの人材派遣の業務の幅を拡大。コールセンター運用などの業務委託(BPO)も伸びた。システム・エンジニアリング開発受託にも進出。このほか、レンタルオフィス事業も順調だという。

2019年、ギグワークスに社名変更した。ギグワークとは英語で「ネット経由で単発の仕事を請け負う」ことを指す。いわゆるクラウドアウトソーシングである。


■ アルー(2020年4月推奨)

業種 社員研修
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
600円
(2020年4月22日)
推奨後の高値 760円
(2020年5月27日)
上昇倍率 1.27倍
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市場 東証マザーズ
(2018年12月上場)
ロゴ アルー

アルーは、人材育成サービス会社。企業向けの研修プログラムを企画し、運営する。

企業向けの社員研修

研修内容はビジネスのスキル全般にわたる。例えば、新人社員や若手にはビジネスマナーを指導。中堅には問題解決やプレゼン。管理職にはリーダーシップやコーチングなどを教える。このうち、とりわけ新入・若手向けに強みをもつ。主に従業員1,000人以上の大企業と取引している。

研修内容のカスタマイズ

研修内容の理解度を測るテストを実施。受講後のアンケートなども行う。こうしたフォローアップによって、受講生の満足度や成果の度合いといったデータを収集する。蓄積されたデータをもとに、研修内容を顧客企業ごとに改善し、カスタマイズしている。これが、リピーターの増加につながっているという。

海外研修も

海外研修も手掛ける。インドなどアジアに研修サービス拠点を持っている。売上比率は低いが、企業や個人向けの英会話教室も手掛けている。

学者にならず起業

2003年の設立。当初は「エデュ・ファクトリー」という社名。2006年にアルーに変更した。2018年12月にマザーズ上場。

創業者は落合文四郎氏(社長)。1977年生まれ。父親は数学者。自身ももともと物理学者を目指しており、2001年に東京大学の大学院(理学系研究科)を修了した。しかし、学者にはならず、外資系コンサル会社(ボストン・コンサルティング)に就職。そこで起業の熱意が目覚め、わずか2年で退社して自分の会社を起こしたという。


■ ウィルグループ(2019年9月推奨)

ウィルグループ
業種 人材派遣会社
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
866円
(2019年9月17日)
推奨後の高値 1,050円
(2019年9月24日)
上昇倍率 1.21倍
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市場 東証1部
(2013年12月、東証2部に上場)
ロゴ ウィルグループ

ウィルグループは人材派遣会社。家電量販店に販売員を派遣することを得意としている。派遣されたスタッフは、店頭でスマホや通信サービスを売る。いわゆる「セールス・アウトソーシング」である。

家電量販店に販売スタッフを派遣

コールセンター業務や製造業の請負も手掛ける。介護施設を運営する企業に対して、介護スタッフを派遣する事業も伸びている。

正社員と派遣社員をセットを送り込む

常駐正社員と派遣スタッフの双方を派遣し、就業管理や現場管理のサポートも行う「ハイブリッド派遣」を得意としている。自社従業員がリーダーとなり現場で派遣スタッフを指導する。

受入れ側の負担を軽く

これによって、通常の派遣と比べ、受入先の担当者の負担が軽くなる。派遣の供給速度や数で競う一般的な派遣と違い、マネジメント力で勝負することを心がけているという。

大阪で電話営業会社として創業

1997年に大阪市に設立された電話営業(テレマーケティング)の会社「セントメディア」が発祥の母体である。その後、人材派遣の子会社「セント・スタッフ」を設立し、電話オペレーターなどの派遣を手掛けた。

2006年に「ウィル」へ

2006年、持株会社制へと移行するとともに、新設の純粋持ち株会社を「ウィルホールディングス」と名付けた。2012年、「ウィルグループ」に社名変更した。

上場後に株価が伸び悩む

2013年12月東証2部に上場。2014年に東証1部に昇格した。株式公開当初はビジネスモデルに新鮮さがないとして、株価が伸び悩んだ。しかし、その後、大きく伸びた。

製造派遣会社「ウィルオブ・ファクトリー」など

現在のグループの事業会社は、小売店とコールセンターの派遣・請負を担当する「ウィルオブ・ワーク(旧セントメディア)」、工場の派遣・請負を専門とする「ウィルオブ・ファクトリー(旧エフエージェイ)」などで構成される。ウィルオブ・ファクトリーは製造業の中でも比較的安定感のある食品製造業を中心に取引を行っている。

大原社長は独立開業後に、創業間もないウィル入り

社長の大原茂氏は、学生のころから経営者を目指していたという。長谷工コーポレーションで数年働いた後、20代で脱サラし、企業向け市場調査事業を立ち上げる。

創始者の一人、池田良介氏と出会う

そこで、取引のあった池田良介・現ウィルグループ(当時はセントメディア)会長と出会う。池田氏から「東証1部に上場するくらいの会社を作ろう」と声をかけられ、設立して間もないセントメディアに自分の会社を譲渡するとともに、セントメディアの役員に就任。人材派遣子会社の社長にも就任し、ビジネスを成長させた。

2016年6月、池田氏の後任としてウィルグループの社長に47歳で就任した。